2-9. ¿Quién es la última? 「ドンジリはどなた?」

若い頃、新聞の文化欄などで海外の音楽や映画の紹介をしてるのによく出て来た表現で、「最後のナニナニ」というのがあった。「最後のエンターティナー」だとか「最後の大物俳優」だとか「今アメリカで最後の歌手と言われているベット・ミドラー」…なーんてネ。
そんな風に書かれると、なんかもう、こういう人は今後は出ないというようなニュアンスをかきたてられて、スゴイなあと思ったものだ。
ところが暫くすると又「最後のナニナニ」ってのが出るの…同じ形容詞だけど別の人!
「最後の」って、最後じゃないの?

スペイン語で英語の「最後の」 (last) に当るのは ‘último(-a)’, ‘últimos(-as)’ だけど último ナニナニって言ったら、必ずしも最後のナニナニ…とは限らない。
例えば "la última vez que nos vimos…" (最後に会った時…)って言ったら…つまりは「こないだ会った時さァ」…ってことじゃん?

なーんだ! 昔新聞記事に出て来たあれは、「最新の」だったのではないですか? つまり「今までの中で最後」。それを英語の批評記事を読んで "last" =「最後の」って訳しちゃってたんじゃないですか? でもそれで、ああいうフシギなニュアンスが出てたわけだから…いいのかなぁ!?

まあ英語の場合はシリマセンが、スペイン語の último(-a), últimos(-as) という言葉には、この「今までで」というようなニュアンス、或いは他の「限定条件」が感じられる。
例えば"la última vez que nos vimos…" の "… que nos vimos…" のようなフレーズが隠れている、というか暗黙の裡にあるような感じなのだ。つまり「最後の」といってもそれは、「絶対的な最後」ではなく、「相対的な最後」ってこと?

で表題の "¿Quién es la última?" だけど、これが最もよく聞かれるシチュエーション、それは買い物。お肉屋さん、パン屋さん、八百屋さん、魚屋さん、等々の店先に並んだお客さんたちが、買い物の順番を「自主管理」するためのやりとりの一部なのだ。
その他、長い行列を作ったり、順番待ちをしなくてはいけない状況で、その列や順番待ちの最後、つまりドンジリは誰なのかを確かめるための、これは質問なのです。

日本の銀行で見られるような「受付番号」システムのある店もあるけど、混んでない時はいちいち番号票を取らなくても分かる。となると番号票取るのメンドクサイ。お店の人もつい応対してしまう。日本の銀行だったら空いてても番号票取らせるかも知れないけど、スペイン人は融通利くから…でもそうやって番号票を省略して事が進んでいるところへ、新しいお客がやって来て、何も言わずに番号票を取り始めたらどうなるか、想像してみてください。順番がグシャグシャになって揉める事必至。

そこへ行くと、昔から使われている、この伝統的な自主管理システムは実に簡単かつ有効。
店先に着いたら先ず、現在どのシステムで順番が決められているのか見極める。番号票の機械が置いてあったら、念のために1枚取っておく。 "¿Va por número?" (「番号で行ってるの?」)などと聞いて確認してもいい。でも誰もはっきりとは答えられない場合も往々にしてある! そこで「最後の方はどなたですか?」と聞く訳だ。
待っていた人たちの中から、「ワタシ!」とか「ワタシが最後」とか答えてくれる人がいたら、 "gracias" とお礼を言って、その人をしっかりマークしておかなくてはいけない、そしてその人が買い終わって、お店の人が「お次の方は?」("¿la siguiente?") と言った時に、すかさず前に出て「ワタシ!」って言わなくちゃいけない。

この "¿Quién es la última?" のプロセスを怠ると、いつまで待っても買えなくなる可能性もあるヨ(!) 少なくとも、次に来た人が "¿Quién es la última?" って聞いた時に、" ¡Soy yo! " (「私です!」)って答えておくことと同じくらい大事なプロセスです。
まあ、その場に居合わせた誰もはっきりとした順番を知らなかったり、逆に「ワタシの次に彼が来て、それからもう1人来たんだけどどっかに行っちゃったから、アナタ、彼のツギよ」などと、しっかり人の順番も管理してくれてる人がいたり、状況は様々なので、あくまでも臨機応変に対処してください。

「ワタシが最後です」と言ってツギに来た人に順番をあげる事を dar la vez と言う。だから "¿Quién es la última?" のかわりに "¿Quién me da la vez?" (「私に順番を下さるのはどなた?」)などと聞く事もある。

尚、質問は常に女性形の "la última" ということは、後に隠れている名詞は persona (「人」)ってことですね。更に深読みして、 "¿Quién es la última (persona que haya llegado)?" とかね。で答の方は、男の人が答える時には "Yo, yo soy el último" と言う場合と "Yo, yo soy la última" と言う場合と、両方あります。
…うん、男の人もお肉や野菜買うのに並んでるんだよ、スペインでは。少ないけど…

尚、 フラッシュバック・スペイン(ホームページ)の第14章「ヨーロッパの底力」の最初のエピソードに登場する初老のスペイン人紳士は、「ガトウィックからビクトリアに行く電車の中で、スペイン語を話す日本娘と出会うなんて…"…era lo último que me esperaba" 」と言いました。
この場合の「最後に予想したであろうようなこと」、「予想したかもしれない最後のこと」は、つまり、「予想だにしなかったこと」です。念のため。(2006年2月)

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