2-11.Guata  「ゥワタ」

ある時、スペインの犬はなんと鳴くか? という質問を受けた。
物の本によると guau guau と書くみたいだけど、これはどう発音するのか? 
グァウ グァウ? それともガウ ガウ?

日本の犬はワンワンと鳴く(吼える?)。英語圏の犬は確か wow wow。
でも日本の犬とアメリカの犬とスペインの犬が出遭っても、話通じそうな…つまり吼え声にそんなに違いはない気がする。アメリカは行った事ないので、まあ映画とかから想像する訳ですが。

スペイン語の犬の鳴き声は、カタカナで書くと「ワゥ ワゥ」に一番近い。英語と同じ。’g’ の音は殆ど聞こえない(?)のだ。

ちょっと待って。
スペイン語の ‘g’ の発音はちょっと複雑。
‘e’ や ‘i’ が付くと、「ヘ」「ヒ」のような音になる。
そして ‘a’ ‘o’ ‘u’ がが付くと「ガ」「グ」「ゴ」になって…(「ハ」「フ」「ホ」は’j’ で…)

…じゃあ「ゲ」や「ゴ」はどう表すのっていう時に ‘gu’が出て来るんじゃなかったっけ?
つまり ‘e’ や ‘i’ の付いた ‘gu’、つまり ‘gue’ ‘gui’ は、日本語の「ゲ」や「ギ」のような音になって…そして ‘ua’ が付いた時は「グヮ」みたいになるんじゃなかったっけ?

でもこの「グ」の音がはっきり聞こえるのって、良く使われる単語では
‘guantes’ (手袋)くらいしか思いつかないのだ。スペイン人が発音するのを聞いてると、例えば ‘Guatemala’ は「ゥワテマラ」、’guau’ は「ゥワゥ」のように聞こえる…
つまり ‘gua’ の音は「ゥワ」、何かにびっくりして「ゥワッ」っていうような感じで、実際グワテマラの事も「ゥワッテマラ」みたいに言う人もいる。強いて言うなら「グ」の小さいのに「ゥワッ」を付けたような音とでも言おうかしらん???

本来のスペイン語には ‘W’ の字が殆ど使われない。’Washingon’ とか、外来語だけで…その ‘W(a)’ の音を ‘gu(a)’ で代用してるような気がするのだ。
スペイン語圏は広いので、たまたま私の聞いたのがそうだっただけかもしれないけど。

そこで本題の ‘guata’。これは「ゥワタ」と発音する。「ゥワッタ」って感じ!?

コットンのワタを意味するスペインとして語は ‘algodón’ という単語がちゃんとある。
でも例えば、キルティング、つまり綿入れの生地を言う時には ‘guata’ と言う…

そこで私、早合点してしまいました。
スペイン人がキルティングの事を「ゥワタ」と言うのを聞いて、辞書も引かずに「これは日本語のワタの事だァ!」と思ってしまったわけ。
屏風(biombo)や坊主(bonzo)などのように、フランシスコ・ザビエルの時代に日本から逆輸入された外来語に違いないッ!

ところがどうも違うみたい。犬の鳴き声について聞かれたのをきっかけに、スペイン王立アカデミーの辞書で ‘guata’を引いてみると、フランス語や中南米の原住民の言葉が語源になってるみたいなのだ…

でも良く見ると、「ワタイレ」の「ワタ」の他に、「詰め物」だとか、「お腹」だとか、「臓物」などの意味がある!

日本語の「ワタ」も、例えば魚の内臓とかを指すのに使われるじゃないスか!!

日本語の「ワタ」の語源は何なのだろう?
もしかして「ワタ」って、人類に取って非常に古い言葉で、今のように言語が分かれて発達する前から使われてたんじゃぁ…???

例えばエスキモーの言葉や、アフリカのスワヒリ語とかでは、内蔵のことをなんて言うんだろう…と、犬の鳴き声から始まって想像力をかきたてられてしまったのだった。
(2006年4月)

追記:
ブログでこの記事についてのコメントを頂いて、エスキモーの言葉やスワヒリ語で何と言うか知りたい言葉は、「内蔵」ではなく「海」…だっていう気がして来た。
だって日本のワタには海神(ワダツミ)などと言われるように「海」の意味があるんだって!
そしてその語源は、古韓語ともポリネシア語とも言われてるんだって!!

「ワタ」=「海」なら、人類にとって非常に古い言葉だっていう説明が付くじゃないスか?
なんてったって人は海から来たんだから!

いずれにせよ、ちょっと説明不足だったので付け加えます。スペイン王立アカデミーの
辞書によると:

guata1:フランス語の ouate より。意味はキルティングなどの「詰め物」に使うコットン。

guata2.: マプチェ語(?)の huata より。意味は一言で言うと「腹」。

その他中南米の幾つかの国で、「同じ腹から生まれた」とか「対の」という意味にも使われ、ひいては「双子」の意味もあり、更には guata という名の果物まである。

海からは色んなものが生まれて来たわけで、それと人間や動物の子を産む「腹」が古代人の間で「同じ言葉」になるのは分かるような気がするし… 
そしてその言葉「ワタ」は、世界の様々な民族の間でちょっとづつ姿を変えながら使われている…又々想像力をかきたてられてしまった。(2006年4月末日)

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