2-13. Cerramo lo miercole 「すいよはしめま」

前回の「テレビで冬ソナ」に続いて、タイトルの日本語おかしいですね。
これはタイトルのスペイン語が、 Cerramos los miécoles をアンダルシア訛りで書いたものだからで、つまり「水曜は閉めます」が「すいよ、しめま」みたいになってると…なんとなく大阪弁みたい? でもアンダルシア訛りが大阪弁に似てるわけではありません。

実はスペインには、全部で4つの言語がある。標準スペイン語の他に、カタルニア語、ガリシア語、バスク語が、スペイン語の「方言」ではなくてひとつの言語と位置づけられている。起源の分からないバスク語を除いては、みんなスペイン語と同じような文法構造なのだけど、それが「方言」じゃなくて「別の言語」とされる根拠、それは「これらの言葉で書かれた文学作品が存在する」という事。

少なくとも25年前のスペインの国語の授業では、そう定義してた。

で、アンダルシア訛りは非常にポピュラーなのだけど、会話の部分がアンダルシア訛りだという事が分かるように表記される事はあっても、全編アンダルシア訛りで書かれた文学作品というのは、ないという事なのだ。

そのアンダルシア訛りとは、どういうものか?

先ずアンダルシア人は、語尾の “s” を発音しない。
そしてアンダルシア人は “s” と “z” の区別ができない。つまり “z” の音を舌を歯にはさまないで、”s” のように発音してしまう。話によると中南米でもほぼそういう発音らしいので、もしかして新大陸に渡ったスペイン人の中には、アンダルシア地方出身の人が多かったのかも…?

で「単なる方言」のアンダルシア訛りなのだけど、今から25年くらいも前にセビージャの街の中にあった公園、その又中にあったキオスク…と言っても新聞のではなく、飲み物などを売っているオープン・カフェというか、簡易スタンド・バーみたいなところで、その飲み物を出すところの屋根に書いてあった文字、それは… “CERRAMO LO MIERCOLE”

スペイン語は英語などと違って、発音と綴りがおおむね一致している。例えば “a” の文字が単語によって「ア」と発音されたり「エイ」と発音されたり…という事がない。唯一気をつけなくてはいけないのは、発音されない “h” の入る単語や、発音が同じ “b” と “v” の書き分けくらいだ。

そして、そういう事がきちんと書き分けられるかどうかが「学のある人」「国語力のある人」「本をよく読む人」などの一応の目安になるわけだけど…でもアクセント記号なんて、学のある人でも結構間違えるので、間違えたからと言って「学がない」「頭が悪い」などと早合点して決めてしまうのは禁物です。何てったって、彼らの方がスペイン語、ず~っとうまいんだから!?

例えば江戸時代の寺子屋では、先ず「かな」、つまり「いろは」を教えたのじゃないかしらん? 
仮名だけで、聞こえる音の通りに書こうと思えば、日本語の表記、一応できますよね?

それと同じように、高等教育を受けるチャンスのなかったスペイン人でも、アルファベットの二十何文字かを覚えて、それぞれの字がどういう音に対応するのかを学べば、一応スペイン語を表記する事ができるのです。

でこのキオスクの主人だか、看板を書いた人だかは、もしかしたら小学校も出てなかったかもしれないけれど、自分の学んだ知識で「水曜定休」という事を書いたのです。それが本当は “Cerramos los Miélcoles” だとは知らないで、自分たちが普段話すアンダルシア訛りそのままに、大文字で “CERRAMO LO MIERCOLE” と!

…それとも学も教養もあるスペイン人が、お得意のチステ(ジョーク)で、わざとアンダルシア訛りを誇張して書いたのかしらん??? (2006年7月)

追記: ブログ(≪ちょっとスペイン…の別荘≫)でお喋りしてる内に、この記事に書こうと思っていて忘れていたエピソードを2つ思い出しました。
語学学校時代、部屋を借りていた家の大家さん、Extremadura の出身で、アンダルシア訛りに近い喋り方。部屋代の領収書など、丁寧に綺麗な字で書いてくれましたが、私の名前は上の CERRAMO LO MIERCOLE 式、自分の耳に聞こえる通りに、且つ訛って書くので…
ローマ字の Z は S に、K は C に、そして Y は LL に変ってしまい、それらの文字が全部入ってる私の名前は…まるで他人の名前みたい! 
ある時「自分の生まれた村では字が書けない娘たちもいっぱいいてね、お裁縫習いにくる子たちに字も教えてやったんだ…」田舎育ちでちょっとガサツな
とこもある大家さん、ケチだったけど、基本的には優しい人だったなあ…

それからその語学学校の上級課程でスペイン文学史や韻文、散文のコメントなどを教えてくれた女の先生、逆に北の方の出身で、勿論教養のあるスペイン人。彼女は、スペインで一番綺麗なスペイン語を話すのは、発音から言えばバジャドリッド、でも表現が豊かで美しいスペイン語を話すのは、私はアンダルシアのグラナダだと思うと、再三授業で言ってました。

そんな事を思い出している内に、タイトルは≪すいよはしめま≫がいいと思いついたので、最初の≪水曜は閉めまんねん≫から変えました。(2006年7月)

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