過去の話 1

スペイン語の過去、つまり動詞の過去形についての話です。
私が日本でスペイン語の勉強を始めたのは1970年代の終わり近く。
当時過去形については「不定過去」と「不完了過去」があると教わった。
「不定過去」というのは Pretérito Indefinido、「不完了過去」は Pretérito Imperfecto を訳したもので、「不定過去」は又「単純過去」と呼ばれる事もあり、それに対して「不完了過去」は「半過去」と呼ばれる事があった。

う~ん… そもそも「不定過去」ってどんな過去よ? って思いません?
これは indefinido という言葉が、Artículo Indefinido (不定冠詞)に使われてるのと同じ言葉なのでそう訳されちゃったのかも知れませんが、不定な過去? 特定できない過去? そんなん何の事やら分からへんっ! て感じしませんか??

でもスペイン語の勉強を始めたばかりの頃はそんな事はさして気にもせず、とにかく覚えなきゃ仕方がない事として覚えてですね、で80年の夏にスペインに行って、当時の Escuela Oficial de Idiomas de Madrid っていうところのスペイン語科に入ろうとした。

公立の語学学校で学費は只同然の安さ、初級は定員に達するまでは無試験で誰でも入れるので、受付開始日に並べばいい。
でもね、折角日本で勉強したんだし、留学期間は無限にある訳ではないので、できれば2級くらいから始めたい。その為には試験を受けなくてはいけなかったのだ。

Piso (フラット)をシェアしていたスイス人の女の子が、彼女も試験を受けたけど、自国で勉強して来たのと文法用語などが違っていて不合格になった。結果彼女は初級から入った訳ですが、その初級のテキストを貸してあげるから、それで準備してから試験を受けた方がいいと言ってくれた。

借りて読んでみると確かに違うのですね。
借りたテキストで用語の違いその他、理屈は分からないけどとにかく覚えて、みたいな感じで泥縄勉強して、何とか試験に合格し2級から始める事ができたのだった。

今になって考えると、丁度過渡期に留学してしまったのだ。(そしてそれは非常にラッキーな事だったと今では思っている。)
過渡期というのは、スペイン語の文法について、スペイン本国で大きな見直しが行われた直後の過渡期という意味です。

検証したわけではないけれど、フランコが亡くなって数年間、政治や社会の大きな変革があった時期で、教育についても全般的な見直しがされたとしてもおかしくない。
只スペイン語自体が変わった訳ではないので、あくまで文法の捉え方、整理の仕方が変わったという事です。

直前にスイスから来た留学生が同じようにとまどったという事は、日本だけでなく、その他の外国にも未だ「スペイン語の新しい文法概念」は広まっていなかったのだと思う。
日本以外の諸外国が「スペイン語の新しい文法」を取り入れるのにどれ位の期間がかかったのか、それは分かりませんが、日本ではその後かなりの年数がかかったのではないだろうか? 少なくとも80年代には未だ古い文法概念で勉強した人の方が多かったのではないか…と想像してます。

話を想像から現実に戻して…
では現在のスペイン語文法では「過去」の時制はどう整理されているのか?
「過去」には先ず「完了過去(Pretérito Perfecto)」と「不完了過去(Pretérito Imperfecto)」がある。
そして完了過去は「単純形」と「複合形」に分かれる。

はぁ~ん、過去には完了した過去と完了してない過去があるって?
つまり終わった過去と終わらずに引きずってる過去の人生とか???(笑)
でも「不定」な過去、「不特定」な過去っていうのよりイメージ湧く気しません?

Indefinido の同義語のひとつに ilimitado というのがあり、直訳すると「制限されない」という事になりますが、Pretérito Indefinido という時の indefinido、実はこれに近いのではないかと最近になって思いついた。
他の要素に制限されない、言い換えれば「影響を受けない」絶対的な過去、遍く過去、普遍的な過去…どうでせう? 不定な過去や不特定の過去というよりは、多少イメージ湧くような気がするんだけど…???

これはまあちょっと置いといて、動詞の過去に関しては新しいスペイン語文法の整理の仕方の方が合理的に思えるので、それについて昔の文法と比べながら説明します。

昔の文法では過去には「不定過去」と「不完了過去」があり、それとは別に「現在完了*」が存在する。
それに対し新しい文法では、過去には完了した過去と不完了、つまり完了してない過去があり、完了した過去には更に単純形と複合形があるとする。そしてこの完了過去の複合形というのがイコール「現在完了」なのです。
単純形と複合形というのは単に形の問題で、単純形は動詞の過去形のみ=Pretérito Indefinido で、複合形というのは現在完了なので助動詞としての haber に動詞の過去分詞を足したもの、つまり二つの単語の複合形で表されるという事です。

   昔の文法                       今の文法   
      
      不完了過去 又は 半過去 →→→   不完了過去

      不定過去 又は 単純過去 →→→   完了過去の単純形      

      現在完了形  →→→→→→→→→   完了過去の複合形

という相関図です。
これは特に、かつてスペイン語を勉強した事のある方に役立つのではないかと思って書き始めたのですが、予想以上に長くなって来たので一旦切ります。
次回は、じゃあ、完了した過去と完了してない過去はどう違うのか? というあたりを書けたら良いなと思っておりまする…

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